こんにちは。
名古屋市西区花の木にある
佐藤歯科クリニック 〜浄心 歯の健康と歯並びのクリニック〜
歯科衛生士の福島です。
半年ほど前から、クリニックの取り組みの一環で、読書をしています。
歯科の知識を向上させる本や、自分を成長させる本を、意識して読んでいます。
本から得た知識を皆様へお伝えする事で、歯科衛生士としての口腔の健康への啓蒙活動という使命を果たすことになりますし、
自分の知識の整理もできることに気がつきました。
これから少しずつ、皆様へ情報を発信したいと思います。
初回の今回は、喫煙。
タバコがお口の健康に及ぼす影響についてお話しします。
子ども達にきれいな空気を
タバコは一度吸い出すと、なかなか止めることができません。これは“ニコチン依存症”のためです。現在、たばこの弊害を訴える禁煙教育が盛んに行われています。
タバコと歯は関係ないと思われがちですが、ニコチンが体内に入ると血管が収縮し歯肉も酸素不足になるので、歯周病になりやすく治りにくい、むし歯にもなりやすいのです。
お口は、喫煙の影響を最初に受ける器官です。
喫煙者のお口の中は、
- 歯面へのタール(発がん物質)の付着
- ニコチンの影響で毛細血管が収縮し歯肉は暗紫色
- 病気が進行しても出血などの炎症反応があらわれにくい
- メラニン色素が多く沈着する
- 歯肉は線維性で、ゴツゴツした感じになり、肥厚する
- とくに、煙が直接あたる上アゴの粘膜では隆起が著しい
- 角化がすすみ白斑があらわれる
などの特徴があります。
白色病変は、前がん病変である白板症へと移行する可能性もあります
喫煙は、喫煙者本人のみならず、その副流煙がもたらす「受動喫煙」によって起こりうる健康被害が明白となっています。
そして子どもの健康にも大きな影響を与えます。受動喫煙は成人でもかなりの影響があるといわれていますが、発達期にある子どもの場合はさらに強い影響があるということです。
例えば、虚血性心疾患、中耳炎、ぜんそく、呼吸器疾患などから、小児のメタボリック症候群、注意欠陥性多動性障害(ADHD)などにも関連しているということです。
また、歯科疾患にも①むし歯が多い②歯ぐきが黒くなるなどの影響が知られています。
受動喫煙のある子どもはそうでない子どもと比べて、むし歯は2.0倍多く、歯周病は1.4倍多いと報告されています。また親が喫煙者だと80%近くの子どもの歯肉に着色があらわれます。口内の皮膚は、タールやメラニン色素を吸収しやすく、家族が禁煙しても、直ぐにはきれいなピンク色に戻りにくいと言われています。また、喫煙者が周りにいることで、喫煙への抵抗感がなくなり、早期に喫煙を始めてしまう子どもが多くみられます。
親が全くタバコを吸わない場合を1としたら、同じ室内で親がタバコを吸うと、子どもの体にニコチンが15倍入ります。換気扇の下で刷った場合でも、3.2倍のニコチンが、戸を閉めて屋外で吸っても、2倍のニコチンが子供の体に入るのです。外でタバコを吸っても、服や髪に臭いが付きます。喫煙者がタバコを吸い終わっても、口からは体内にたまった副流煙を長時間吐き出しているそうです。
子供は大人に比べ呼吸回数が多く、親との密接な身体接触が多いため、親のタバコの害をまともに受けます。子供たちの健やかな成長を願うならば、タバコのない環境を整えていくことが必要なのです。
参考文献:ふしぎ・ふしぎ 噛むことと健康 第3巻 口に入る前の食育。入った後の食育